たまには刊行されたばっかりの本を紹介、ということで、近藤史恵氏の『サヴァイブ』を取り上げます。
タイトルにもある通り、『サクリファイス』、『エデン』と続く、近藤史恵氏のロードレースを描いた長編小説の外伝的な短編を集めてきたもの。
ですので、 『サクリファイス』、『エデン』をどちらも未読の方にお勧めは出来ません。
少なくとも、『サクリファイス』を読んた方をターゲットにしていると言っても過言ではありません。
本当はツール・ド・フランス開幕に合わせて、『エデン』の紹介としゃれ込みたかったのですが、間に合わなかったので、旬なこの作品を。
収録されている作品は以下の6編で、すべて、作中の登場人物の一人称で物語は語られます。
語り手=主人公とすると、かっこの中の人物になります。
・老ビプネンの腹の中(白石)
・スピードの果て(伊庭)
・プロトンの中の孤独(赤城)
※実質の主人公は石尾かな。赤城の目を通して、石尾を語るみたいな。
『レミング』、『ゴールよりももっと遠く』は同じく。
・レミング(赤城)
・ゴールよりももっと遠く(赤城)
・トウラーダ(白石)
『エデン』、『サクリファイス』を含めて、時系列に並べると、以下の順になります。
プロトンの中の孤独
↓
レミング
↓
ゴールよりももっと遠く
↓
サクリファイス
↓
スピードの果て
↓
老ビプネンの腹の中
↓
エデン
↓
トウラーダ
作品はこの順番に並んでないのですが、時系列に読んでいっても面白いかもしれません。
個人的に面白かったのは、赤城が石尾について語る3編。
特に、 『プロトンの中の孤独』で描かれた石尾が、『サクリファイス』で描かれた石尾に、どのように変貌してくのか、ちょっと想像がつかず、ギャップがすごく新鮮でした。
ただ、『サクリファイス』では、赤城は「石尾は自分以外のエースを許さない」って言っているんですよね。それと矛盾するエピソードがある(赤城が語り手として、それを体験している)ってのは、ちょっと気になるところ。
そういった意味では、『サクリファイス』の前に、もう1エピソード挟んで欲しかったかな、というのが正直な感想です。
とは言え、他の三作品も、一作一作の長さも長くなく、『サクリファイス』、『エデン』を楽しめた人であれば、ニヤニヤしながら楽しく読める作品だと思います。
『サクリファイス』、『エデン』でコース料理を楽しんだ後、幸せを持続させるために、デザートとして楽しみたい一冊ですね。
> パスタさん
返信削除コメントありがとうございます。
失礼ですが、同じ内容のコピペと思しき
コメントが、各地にあるようですので、
スパム扱いとさせて頂きます。
もし違うようでしたら、すぐに解除しますので、
改めてコメントなどでお知らせください。
はじめまして。
返信削除先ほど「サヴァイヴ」を読み終えて、時系列がわかりづらく調べていたところコチラに辿り着きました。
過去と未来、色々な角度で語られるので面白いですよね。
「サヴァイブ」読みながら「エデン」や「サクリファイス」見返しながら読んでました。
そして外伝とは言え、白石ほとんど走ってないな....って(笑)
今度は時系列順に読んでみようと思います。
ありがとうございました。
> 匿名さん
返信削除はじめまして。
コメントありがとうございます。
お役に立てたみたいで、うれしいです。
確かに白石走ってないですね。
まぁ、石尾が主人公と思えばOKです(笑)。