2011年7月12日火曜日

サクリファイス・エデンを読み終えた後のデザート:サヴァイブ(近藤史恵)

たまには刊行されたばっかりの本を紹介、ということで、近藤史恵氏の『サヴァイブ』を取り上げます。
タイトルにもある通り、『サクリファイス』、『エデン』と続く、近藤史恵氏のロードレースを描いた長編小説の外伝的な短編を集めてきたもの。

ですので、 『サクリファイス』、『エデン』をどちらも未読の方にお勧めは出来ません。
少なくとも、『サクリファイス』を読んた方をターゲットにしていると言っても過言ではありません。

本当はツール・ド・フランス開幕に合わせて、『エデン』の紹介としゃれ込みたかったのですが、間に合わなかったので、旬なこの作品を。


収録されている作品は以下の6編で、すべて、作中の登場人物の一人称で物語は語られます。

語り手=主人公とすると、かっこの中の人物になります。

・老ビプネンの腹の中(白石)
・スピードの果て(伊庭)
・プロトンの中の孤独(赤城)
※実質の主人公は石尾かな。赤城の目を通して、石尾を語るみたいな。
『レミング』、『ゴールよりももっと遠く』は同じく。
・レミング(赤城)
・ゴールよりももっと遠く(赤城)
・トウラーダ(白石)


『エデン』、『サクリファイス』を含めて、時系列に並べると、以下の順になります。

プロトンの中の孤独

レミング

ゴールよりももっと遠く

サクリファイス

スピードの果て

老ビプネンの腹の中

エデン

トウラーダ

作品はこの順番に並んでないのですが、時系列に読んでいっても面白いかもしれません。
個人的に面白かったのは、赤城が石尾について語る3編。
特に、 『プロトンの中の孤独』で描かれた石尾が、『サクリファイス』で描かれた石尾に、どのように変貌してくのか、ちょっと想像がつかず、ギャップがすごく新鮮でした。

ただ、『サクリファイス』では、赤城は「石尾は自分以外のエースを許さない」って言っているんですよね。それと矛盾するエピソードがある(赤城が語り手として、それを体験している)ってのは、ちょっと気になるところ。
そういった意味では、『サクリファイス』の前に、もう1エピソード挟んで欲しかったかな、というのが正直な感想です。


とは言え、他の三作品も、一作一作の長さも長くなく、『サクリファイス』、『エデン』を楽しめた人であれば、ニヤニヤしながら楽しく読める作品だと思います。
『サクリファイス』、『エデン』でコース料理を楽しんだ後、幸せを持続させるために、デザートとして楽しみたい一冊ですね。


3 件のコメント:

  1. > パスタさん

    コメントありがとうございます。

    失礼ですが、同じ内容のコピペと思しき
    コメントが、各地にあるようですので、
    スパム扱いとさせて頂きます。
    もし違うようでしたら、すぐに解除しますので、
    改めてコメントなどでお知らせください。

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  2. はじめまして。
    先ほど「サヴァイヴ」を読み終えて、時系列がわかりづらく調べていたところコチラに辿り着きました。

    過去と未来、色々な角度で語られるので面白いですよね。
    「サヴァイブ」読みながら「エデン」や「サクリファイス」見返しながら読んでました。
    そして外伝とは言え、白石ほとんど走ってないな....って(笑)

    今度は時系列順に読んでみようと思います。
    ありがとうございました。

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  3. > 匿名さん

    はじめまして。
    コメントありがとうございます。
    お役に立てたみたいで、うれしいです。

    確かに白石走ってないですね。
    まぁ、石尾が主人公と思えばOKです(笑)。

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