自転車ブログも兼ねているので、この小説はどっちのジャンルでもヒットして非常に都合がいい。というのは冗談ながら、今年の前半(1~6月)に読んだ小説のなかで、一番面白かった。
まぁ、2008年には話題になっていたので、3周ほど流行から周回遅れしているんですが(笑)
この小説の何がすごいって、ミステリーとしても秀逸だし、スポーツ小説としても秀逸なところ。
まず、ミステリーとして秀逸な点としては、情報の出し方が巧みで、うまくミスリーディングを誘うところにある。
3年前の事故というのが、この小説のバックボーンにあるわけなんだけど、それが故意なのか事故なのか、そして故意の場合、理由は何なのか?
読者はうまく、誤解したまま終盤の赤城の告白で真実を知って、そこから怒涛の謎解きが展開されて……と、ダウンヒルのような、爽快なカタルシスを味わえる展開につながるわけです。
ポイントは、リエージュで赤城に「わざとだよ」と言わせつつ、理由を言わせないところ。
上述の通り、疑問点を分けて考えるなら、「故意なのか事故なのか?」「故意ならばなぜしたのか?」という2つの疑問があるんだけど、赤城の「わざとだよ」は前者の答えでしかない。
だけど、この言葉によって、後者についても、篠崎の推測が正しいかのように錯覚してしまう。
この仕掛けだけで、あんぱん3つは軽いですね。
スポーツ小説として秀逸なのは、マイナー競技がテーマなのに、必要十分な説明が入っているにも関わらず、まったく説明臭くなくて、すんなりと物語に入っていける点。ロードレースの入門書としても、最適な一冊かもしれない。
素人観点だけど、レースシーンもかっこいいです。展開される心理戦が熱い。
ということで、珍しくベタぼめしちゃいました。
が、未読の方は是非読んでみるべし。
勧めてくださった『サクリファイス』読みました!
返信削除これは傑作ですねえ!(^^)!
そんなに本を読むほうでもなく、読みなれているわけでもないのですが、面白くて一気に読んじゃいました。
調子に乗って『エデン』も読もうかと思ってます。
>たてわき07さん
返信削除お気に召して頂いて幸いです。
エデンはまさにツール・ド・フランスが舞台なので、
まさに総集編のお伴に最適かも。
僕は積読ならぬ、積ブログネタがたくさんあって、
そのうちの一冊が『エデン』なんですよね……。
早いうちに、『エデン』もレビューを書きます。