2011年6月12日日曜日

二兎負うものは……:用心棒日月抄(藤沢周平)

当初、ブログタイトルに「日月抄」をつけようと思っていた。
もちろん、本作のパクリオマージュだ。

と言いつつも、実は僕の中では本作は藤沢周平氏の作品の中では、
さほど評価が高くはなかったりする。
よく比較される『よろずや平四朗活人剣』と比べれば、『よろずや~』の方が好きだなぁ。
# あくまでも、「藤沢周平氏の作品の中では」ですよ。

なんというか、主人公青江又八郎が脱藩を余儀なくされた、お家騒動と赤穂浪士の討ち入り。
この二つの軸が、交わらないまま、淡々と物語が進んでいくような感じがして、
イマイチ話にのめりこんでいけない。
もっというと、お家騒動の方は、付け足し感があるというか、流されるままになってしまった感じかなぁ。
もちろん、脱藩した以上、能動的に動くわけにはいかないんだけど、 物足りなさを感じる。
密謀の動かぬ証拠をつかむ……みたいなエピソードがあれば、
付け足し感は薄れるんだろうけど、それはそれでベタすぎるか。

どうせなら、細谷を主人公にして、どちらの軸も傍観者として青江を観察する、
『用心棒日月抄-細谷’s Side』なんてのも面白いかもしれない。
清水義範氏あたりやってくれないかなぁ。『ティンカー・ベルの日記』みたいに。
細谷は性格に似あわず、達筆らしいので、こんな日記も書いているかもしれない。
しかし、清水義範氏がやると、後半はすごく暴走しそうだ。
それはそれで読んでみたいような、見たくないような……。

まぁ、青江又八郎が苦み走ったいい男でもてるってのが、
気に食わないってのもあるのかもしれないけど(笑)

以上、細谷源大夫のレビューでした(嘘)。

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