2011年6月26日日曜日

『お約束』を笑う至高のギャクミステリー:名探偵の掟(東野圭吾)

もりぞーさんも最近、読書を始められたそうな。

推理小説がお好みとのことだったので、
映画化が相次ぐ、相変わらず大人気の東野圭吾氏の変わり種ミステリー(?)を一つご紹介。正確には、ミステリーではない気もするが、一応、カテゴリ的にはミステリにせざるを得ないんだろうなぁ。

ここまで読んで訳わかんねーよ、と思った方のために、以下説明をしようと思います。

ミステリだと、文明の進化とともにトリックが使えなくなる/陳腐化するなどで、過去の名作が色あせちゃうということが往々にしてありますが、本作は初出が1990年とかなり古い本ですが、今読んでも面白い。

それは、「いまだに綿々と引き継がれている『ミステリのお約束』をネタにしてしまった作品」だからです。それを念頭において読めば、プロローグだけで抱腹絶倒モンです。間違えても、『本格ミステリ』と思って読み始めると、期待は裏切られます。

『間抜けな警察を演じるため、科学捜査をつくし、名探偵よりも先に真相にたどり着き、それを避ける』なんて、間抜けな警察官役の警部が独白するんですから。
本編でもメタった会話の連続で、にやにやしてしまうのが止められません。

で、さんざん「陳腐なミステリーのお約束」をネタにしてしまったわけですから、東野圭吾氏はこのお約束たちを使えないはずが、本当かどうか、氏の作品を読む際は、この作品を念頭に置いて読んでみて欲しいと思います。


2 件のコメント:

  1. どうも、もりぞーです。
    最近は暑いですねー。たまには自転車通勤を休んで、
    電車のなかで推理小説を読みふけるのもいいかもしれない。


    東野圭吾ではじめて読んだのは、高校生のときの「変身」でした。
    部室に置いてあって、読んでみたら意外と面白くて止まらなくなり……、
    という感じでしたね。
    そのときは無名の作品という印象で読んでたので、
    あとで映画化されたときは良い作品がやっと評価されたと喜んだ記憶があります。

    文明の進化と共に……あたりはよく分かります。
    僕が好きだったホームズは、たとえば靴の大きさと歩幅から、
    その人物の大まかな身長や癖を見抜いてたりして、すっごい面白かった!
    今ではたしかにそういう解釈で推理していくことはないですもんね。
    例外はクリスティーのポアロで、物的証拠じゃなくて、
    犯人の精神的な内面を読み取って推理するあたりで僕は感動しました^^
    異色と言えば「すべてがFになる」の森さんもいますが、
    あの作品はオチがよく理解できなくて、今でも分からないままです。
    クソ……。あれはどういう意味だったんだろう!?

    東野さんの作品だし、読んでみようかなぁ。
    ニヤニヤしてしまう、あたりがすっごい気になります。ニヤニヤしたい(笑)。

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  2. > もりぞーさん

    こんばんは、暑いですねぇ。
    美人の人妻上司に「すごい汗だよ」と言われっるのは断念ですか?(笑)

    もしかすると、もりぞーさんは僕よりミステリを読み込んでおられますね。
    ちなみに、次の書評は『モルグ街の殺人』『黄金虫』という、エドガー・アラン・ポーのミステリーの元祖を上げる予定です。
    個人的には、『黄金虫』は今読んでも面白いですね。

    この作品が琴線に響くかどうかは、僕があげた『間抜けな警察を演じるため、科学捜査をつくし、名探偵よりも先に真相にたどり着き、それを避ける』というのが、面白く聞こえるか、「フザケンナ」と感じるか、どちらかによると思います。
    面白く聞こえるのであれば、ほんとおすすめですよ。

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