2011年6月16日木曜日

プラトニックラブを希望!:孤剣/刺客(藤沢周平)

用心棒日月抄シリーズの二冊目、三冊目。
めんどくさいので、二冊まとめて。

超弩級のメジャー作なので、僕がわざわざ粗筋を紹介するまでもないけど、
またしても脱藩を余儀なくされて、用心棒稼業で糊口を凌ぎつつ、お家騒動の解決に向けて、
主人公、青江又八郎が剣を振うという筋。



一冊目と比べると、軸がお家騒動に絞られるので、話には集中できる。
しかし、国元に残された由亀がかわいそうで仕方がない。
用心棒仲間の細谷に「女に汚い」というのなら、佐知とはプラトニックな関係でいて欲しいなぁ。

というのが率直な感想。
どこぞ(失念しました)で、「由亀も佐知も都合のいい女で、(藤沢作品の読者層である)中年男性の好む女。なので、この作品は受けている」というような書いておられるのを見たが、言い得て妙。
まだ中年にほど遠い(と思っている)僕には、ちょっと響かなかったようだ。

だけでは、あまりに感想としてさみしいので、もうチョイ書くと、
『用心棒日月抄』に比べて、作品の雰囲気が全体的に明るい感じがする。
やっぱり、 『用心棒日月抄』は、由亀に斬られるために生きているのに対し、
『孤剣』『刺客」では、任務さえ果たせば、復帰が叶うという先行きの有無がかかわるのかな。

ところどころにちりばめられた、ユーモラスな表現と相まって、時々ふっと笑ってしまう。

個人的にツボにはまったのは、『刺客』の一遍で、金持ちだけどケチなばあさんの用心棒を務めた際のラストシーン。
ケチなばあさんらしく、手間賃分は働けとばかりに、買い物だ雑巾がけだと、こき使われたも青江と細谷。
見事、押し込んできた泥棒からばあさんと孫を守り、用心棒の務めを果たしたあとに、
こき使われた恨みをうっすら込めた(?)
「いざとなれば頬かむりをしてあの家に押し込むという手があるな」
「よせよせ、ばあさんにとっつかまって、雑巾がけをやらされるのがオチだ」
という会話がすごく面白い。

うーん。こういう切り返しができる大人になりたい(謎)。
藤沢氏のこんなちょっとしたユーモアのあるセリフや、表現はとても好きだ。
自分のブログでも、こんなクスっとできる表現ができるといいなぁ。



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