2011年8月6日土曜日

悪意の形:薔薇を拒む/近藤史恵

『サクリファイス』→『サヴァイブ』と来たのに、まだ『エデン』に手を出さない僕。
読破はしているんですが、感想がイマイチ定まらないんですよね。
と言うことで、先に同じ近藤史恵氏の『薔薇を拒む』を取り上げます。

二人の孤児(そして美少年)が、陸の孤島であるお屋敷に集められるところから、物語は始まります。
主要登場人物は皆、美男美女で、屋敷では殺人事件が起こり……とクラシカルなミステリー風なお話です。

現代を舞台にしつつ、現代ではないような雰囲気の小説ですね。

耽美的で、クラシカルなミステリー風の作品なので、一気に読み終えてしまいましたが、実に微妙な読後感。
と言うのは、登場人物たちが、皆、腹に一物を抱えているように感じるからでしょうか。特に、二人の少年の雇い主である、光原氏の悪意が非常に気持ち悪いです。
(ネタバレになりますが、二人が屋敷に集められた理由です)

近藤史恵氏は、この「悪意」の書き方やとらえ方が上手な作家のように思います。
『サヴァイブ』でも、「事故が起きても、自分の悪意が原因とは言い切れない」ように悪意を込める姿を書いていますし、『サクリファイス』の袴田の復讐も、似たようなにおいを感じます。

『エデン』でも同じように悪意(ではないのかもしれませんが、結果だけを見ると悪意)が、描かれています。
詳しくは『エデン』の回に書こうと思います。

と僕が、こんな感想を抱くきっかけになった一冊ですので、近藤史恵氏のファンであれば、一読の価値はあるかと思います。

2 件のコメント:

  1. こんにちは。

    「エデン」も読んでみました。ツールの勉強になりますね。次は「サヴァイブ」もいってみようかと思います(^^)

    読書家ではないので比べられませんが、近藤史恵さんの作品は読みやすいって思いました。

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  2. >たてわき07さん

    こんばんは。
    『エデン』も読まれたんですか。早いですね。
    たてわき07さんが読み終わるまでに、
    レビューを書こうと思っていましたが、
    サボるいい口実が出来ました(嘘)

    近藤史恵さんの文章は、僕も読みやすいと思います。
    とは言っても、『サクリファイス』シリーズ以外は、
    この『薔薇を拒む』が初読ですが^^;

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