2011年11月3日木曜日

【数字遊び】自転車で学ぶゲームの理論(ちょい嘘まじり)の続き

先日の記事の続きです。
本当は、結論だけコッソリとコメント欄にでも埋め込んで、逃走しようとしましたが、某氏からのプレッシャーに負けて、知的なふりを継続です。

先日の記事では、永遠に自動車道が整備されることはないと書きましたが、どうすれば自動車道が整備されるんでしょうか?
面倒だからこまごまとした説明が長くなるので、先に結論を書くと、前回と同じ条件において、「メリット>コストとなった場合、自動車道が整備される可能性が生じるが、絶対に(100%)自動車道が整備されることはない。メリットがコストと比べ、大きくなればなるほど、整備される可能性は上がる」です。

では、こまごまとした説明をしていきましょう。
道路整備費(デメリット)が50、道路整備によって生じるメリットが60の場合を考えてみましょう。
この場合、自転車・自動車が、払う・払わないの戦略を取った場合の損得を、表で表現すると、以下の通りになります。


自転車にとって、自動車が「払う」戦略を取った場合、「払わない」方が得です(払う場合の利得(35)<払わない場合の利得(60)なので)。
逆に、自動車が「払わない」戦略を取った場合、払う方が得です(払う場合の利得(10)>払わない場合の利得(0)なので)。
自動車側も同様です。

では、この場合、お互いのプレイヤーはどの戦略を取るのがいいのでしょうか?
一意に決められませんので、払う・払わないの戦略を、確率的に混合して、自分の期待利得が最大になるよう、行動を決定するよう、戦略を決めます。
期待利得とは、4つのマトリックス((払う、払う)、(払う、払わない)、(払わない、払う)、(払わない、払わない))それぞれの発生確率と、それが発生した場合の利得を掛け合わせたものの合計です。

では、自転車側の期待利得を考えてみましょう。自転車が「払う」を選択する確率をPb、自動車が、「払う」を選択する確率をPdとすると、(「払わない」を選択する確率は、自転車側が1-Pb、自動車が1-Pd)、期待利得は、以下の通りとなります。

35PbPd + 10(1-Pd)Pb + 60(1-Pb)Pd =
35PbPd + 10Pb - 10PbPd + 60Pd - 60PbPd =
10Pb - 35PbPd + 60Pd =
Pb(10 - 35Pd) + 60Pd


では、Pbをどの値にすれば、期待利得は最大化するのでしょうか?
Pdの値がどのようになるかを考えて、Pbの値を決めることになります。
具体的には、Pbに掛かる係数(10 - 35Pd)の値が、負数、正数、0の3パターンに分けて考えます。

正数の場合:Pbは1が、期待利得を最大化
負数の場合:Pbは0が、期待利得を最大化
0の場合:期待利得にPbは影響されない。よって、どの値でも期待利得は一緒。

またしても無駄に長くなってきたので、結論を急ぎます。なので、途中の経緯など、かなり間違いや端折った部分が出てきますので、興味がある方は、「混合戦略」などで、ググってみてください。

では、結論です。
自動車側は、相手が有利になるような偏りはしません。少し極端ですが、自分がじゃんけんで「必ずグーを出す」戦略を取るなら、「必ずパーを出す」戦略を取ることで、相手の利得(勝利)を最大にしてしまいます。
同じように、自動車側が「払う」戦略を取ることが確実(ないしは一定確率より高い)ならば、自転車側は「払わない」を必ず選択することで、期待利得を最大化できます。
よって、自動車側は、「10-35Pd=0」を満たす確率で、Pdを決定します。
同様に、自動車側の期待利得を計算していくと、Pd(10 - 35Pb) + 60Pbになり、自転車側も、「10 - 35Pb = 0」を満たす、Pbを選択します。

よって、Pb = 10/35 = 0.2857……と、払うを選択する確率は約28.57%になります。同様に、自動車側も約28.57%ですね。
自動車道が整備されるのは、いずれかのプレイヤーが「払う」を選択する場合ですから、確率としては、PbPd + (1-Pb)Pd + Pb(1-Pd)になります(もっと簡単な計算方法で言うと、1 - (1-Pb)(1-Pd)と等しくなります)。
これを計算すると、0.4897……となりますので、約49%の確率で、整備されることになります。

では、利益が大きくなればどうでしょう?
道路整備費(デメリット)が50、道路整備によって生じるメリットが70だとすると、利得表は以下の通りになります。






自転車の期待利得を計算すると、Pb(20 - 45Pd) + 70Pdなので、Pdは20 - 45Pd = 0を満たすので、0.444……となります。
自動車側も同様に計算していくと、Pbも0.444……となります。
よって、0.6913……と、約69%でどちらかが、「払う」を選択することになりますので、自動車道が整備されることになります。

以上、やたら無駄に長くなってしまいましたので、簡単に〆ると、「自動車道整備には、行政が自動車・自転車双方にコスト以上のメリットがある方策を示す必要がある」ですね。


長くて飽きた、と言う方はお口直しにこちらをどうぞ。

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2 件のコメント:

  1. 煽っておいてなんですが、難しすぎて途中意識が飛んでしまいました(笑)
    T78Kさん知的過ぎます(^^)

    なにはともあれ、自転車の歩道走行禁止の取り締まりが厳しくなる昨今、道路整備はこれからの重要課題となっていきそうですね。
    とまとめてみました(^_^)

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  2. >たてわき07さん

    実は書いている本人も頭が飛んでます(笑)
    正直、終盤はかなり投げっぱなしです^^;
    しかし、本当に車・人・自転車皆が幸せになれる、
    道路の設計はほんとに重要な課題ですね。

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