2011年11月19日土曜日

青春小説風ビジネス小説~鉄の骨/池井戸潤

久々に読書ネタを。

本屋さんに行った際、山積みにされていた文庫本でした。
著者の『下町ロケット』が、直木賞を受賞したことから、推していたようでしたが、なかなかに面白かったです。
俗に「サイコロ本」と呼ばれる類の分厚い本(ページ数的に、上下巻に分けてもいいぐらい)でしたが、一気に読み切ってしまいました。


【粗筋】
中堅ゼネコン一松組に入社して4年目の富島平太は、「談合課」と呼ばれる業務課への異動を命じられる。
そこで、地下鉄工事を巡る談合事件と、それを取り仕切るフィクサー三橋と深く関わることになるが、裏では検察の捜査の手が迫っていた……。
一松組は画期的技術でコストを大幅に引き下げ、正当な競争をすれば落札確実になるのだが、談合を受け入れるのか?それとも?

【感想】
僕自身、ゼネコンとは全く関係のない世界で生きているからかも知れませんが、非常に新鮮でした。
タイトルにした、「青春小説風」と言うのは、若き主人公富島平太が、談合と言う、世間的に「悪いこと」とされることに触れつつも、ある意味できれいだからかも知れません。
物語のバックグラウンドで、主人公の彼女(萌)と先輩銀行マン(エリート行員)の園田との関係が描かれるのですが、萌の目から見ると、主人公は「幼い、若い、若さゆえの純真」と感じられ、園田は「大人、落ち着き、エリートゆえの傲慢さ」を感じているんじゃないでしょうか。

この「若さゆえの純真」が、物語をドロドロさせず、清涼感を持った物語にしているんだと思います。

ラストのどんでん返しには少しびっくりしましたけどね。
個人的には、萌の情報で検察の手が迫っていることを知る→土壇場で談合を辞めて、結果的に一松組が落札!と言うストーリーを予測してましたが、こんな安っぽい結末ではなかった、とだけ書いておきます。

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